労働者派遣事業の許可更新や報告書に取り組むみなさまへ

労働者派遣事業許可は、初回3年、2回目以降5年ごとに、許可更新の手続きを行わなければなりません。
※「特定労働者派遣事業」から「労働者派遣事業許可」に切り替えをした事業所も、あくまで新規として扱われるので、初回の更新は3年後です。

許可更新を行わない場合は、当然のことながら、せっかく取得した許可は失効してしまいます。

また、申請は有効期間満了日の3か月までに行わなければなりません。

※ただし、1ヶ月半ほど前までに所轄の労働局より、更新申請についてのお知らせが郵送されてくることがあります。そちらには、申請期限として概ね半月程度前の期日が記載されている(例の場合、12 月14 日頃)ことがありますので、実際にはその期日までに申請する必要があります。

許可更新にあたっては、基本的には新規の許可申請と同様の許可基準をすべて満たさなければなりません。
平成27年改正で新たな許可基準が多数追加されていますので、そもそも「○年前に許可を取得したときの会社の状況では許可更新ができない」という事業所もたくさん存在します。
法改正の内容を知らなかったという言い訳はいっさいできませんので、この場合は許可の有効期間が満了すると同時に派遣事業を行うことはできなくなります。

そのようなあまりにも厳しい結果にならないためにも、許可更新には事前準備をしっかりして確実に臨んでいく必要があるでしょう。

改正法の許可(更新) 申請にあたっては、まず追加されている以下の様式を中心に準備していくことが求められます。

これらはあくまで法定の様式であるため、更新申請にあたっては添付書類や実態を証明する書類などが必要なことはいうまでもありません。

  • キャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号 -2)
  • 雇用保険等の被保険者資格取得の状況報告書(様式第3号 -3)
  • 労働者派遣事業の許可申請にあたっての自己チェックの結果について(様式第15号)
上記の中でも最も注意が必要なのが、「キャリア形成支援制度に関する計画書」です。

ここには、キャリア・コンサルティング窓口、キャリア・コンサルティングに関するマニュアル等、キャリアアップに資する教育訓練等について、それぞれ実態に即した内容を記載します。

この中の「キャリアアップに資する教育訓練」欄には、具体的な教育訓練内容と対象となる労働者の種別、一人当たりの年間平均実施時間などを記入します。
そして、記載した内容を具体的に実施していくための教育訓練計画表を作成する必要があります。計画表は特に決められた様式等はありませんが、実態に応じて作成したものの写しを、更新申請時に労働局に提出(添付)しなければなりません。
製造業務を想定すると、以下のような計画表を作成します。

〇〇〇製造業務株式会社〇〇〇〇

教育時期 教育
訓練方法
教育項目 教育内容 年間平均
実施期間
(1人あたり)
1 入職時 OFF-JT ビジネス
マナー教育
  • 時間厳守・挨拶・上司先輩への言葉遣い等、社会人としての基本的なビジネスマナーを身に付ける。
  • 報告・連絡・相談の徹底といった、組織の中で仕事をするうえで必要な心構えを身に付け、業務の効率化と事故の無い職場環境の構築を図るとともに、工場内での円滑なコミュニケーション向上や協調性のある人材の育成を目指す。
2時間
2 入職
1年目
OJT 〇〇〇製造業務における基礎的訓練
  • 〇〇〇〇機の基本的な操作方法を身に付け、〇〇部品の基礎的な加工技術を習得する。
  • 製品の外観検査に必要な最低限の知識を身に着ける。
  • 基本的な作業工程を機械的に繰り返し行うことにより、品質や機械の動作の異常等をいち早く発見し、上司や部署の管理者に報告し適切な問題解決手段を講じることができる人材を目指す。
6時間
3 入職
2年目
OJT 〇〇〇製造業務における実践的訓練
  • 〇〇〇〇機のより高度な操作方法を学び、さらに工場内の〇〇〇機を担当することにより、作業効率のアップを図る。〇〇〇の手順を学び、一人でも行えるようにするために、〇〇や〇〇の取り付け・交換方法を習得する。
  • 〇〇〇機による〇〇加工・〇〇〇・〇〇検査の一連の業務フローを理解できるようになることにより、担当部署における作業の進捗状況、計画とのギャップに気付く力を養い、最低限の業務管理を行うための知識・技術を習得する。
8時間
4 入職
3年目
OJT 〇〇〇製造業務における応用的訓練
  • 〇〇〇加工・〇〇・〇〇検査等の全工程をひと通りマスターすることにより、部署内においても中心的な役割を担い、その技術・知識・経験を活かして後輩の指導にあたることが出来る人材を育成する。
  • トラブルや遅延の際に、状況を把握し発生原因を追究、他の従業員からの報告や自ら収集した情報をもとに、対策を講じるとともに上長に報告する等、責任者としての能力を身に付ける。
8時間
5 入職
4年目
以降
OFF-JT スペシャリスト育成研修
  • 今までの業務で得た知識・技術・ノウハウを活かして、更なる専門的工程を担い、生産管理・品質管理等においても部署内においてスペシャリストとして指導力を発揮することを目指して、昇格するためのキャリアアップを図る。
8時間

すべて平成27年改正前にはなかった内容ですので、基本的にはゼロベースで社内の体制を構築していく必要があります(改正後の事業報告書を提出して以降は、その内容も参照していくことになります)。

更新申請の関係書類の中でも戸惑うことになりがちなのは、「派遣労働者のキャリアの形成の支援に関する規程」です。 これは具体的には以下のものを指します。

(1) 教育訓練の受講時間を労働時間として扱い、相当する賃金を支払うことの取扱いについて記載された就業規則または労働契約の該当箇所の写し。

(2) 派遣労働者のキャリア形成を念頭においた派遣先の提供のための事務手引、マニュアル等またはその概要の該当箇所の写し。

(1)は、就業規則の変更が必要なケースがあり、提出の際には労働基準監督署の受理印のある就業規則の写しが必要となります。
(2)は派遣労働者としてのキャリアアップに資する教育訓練を実施するための事務手引やマニュアル等ですが、基本的には少なくとも実施する教育訓練の最低限の内容とカリキュラムが分かるものである必要があります。

この事務手引やマニュアル等の作成方法が要領を得なかったり、準備に思わぬ時間や労力を要してしまうケースも少なくありません。

また、いざ詳しい決算内容を調べたら資産要件が満たせなかったり(資産要件には若干複雑なルールがあります※下記参照)、申請の準備に取り掛かってからその他の許可基準が満せないことが判明することもあります。

※資産要件(事業所数が1つの場合)
(1)基準資産額の要件
繰延資産および営業権を除く資産 - 負債が、2000万円以上

(2)負債に関する要件
繰延資産および営業権を除く資産 - 負債が、負債の7分の1以上

(3)現金・預金に関する要件
自己名義の現金・預金が、1500万円以上

これらの要件は、直近の決算の貸借対照表により確認しますが、満たしていないときは相応の対応が必要となります。

さらに、社会保険(健康保険・厚生年金保険)、雇用保険の加入手続きが適正に行われていない場合、許可基準を満たさないため、更新手続きをすることができません。事前に加入状況をチェックする必要があります。

変更事項がある場合
事業所の名称・所在地、役員、派遣元責任者等に変更が生じている場合、事前に変更届の提出が必要になります。

先述しましたとおり許可更新には申請期限がありますが、タイムオーバーとなって徒過してしまうことのないように、細心の注意を払う必要があります。
許可基準を満たさないことが判明したものの、事後的な対応では解決することが不可能なこともありますので、許可更新の準備はとにかく早いに越したことはありません。

様式が変わり一本化されただけでなく、法改正によってキャリア形成支援制度やキャリア・ コンサルティングに関する項目が多数追加されていますので、様式も7枚のボリュームとなり、かなり複雑になっています。

【改正前】
(1) 労働者派遣事業報告書(事業所ごと毎事業年度経過後1か月以内)
(2) 6月1日現在の状況報告(事業所ごと当年6月30日まで)
(3) 労働者派遣事業収支決算書(事業主毎事業年度経過後3か月以内)
(4) 関係派遣先派遣割合報告書(事業主毎事業年度経過後3か月以内)

【改正後】
(1) 労働者派遣事業報告書(事業所ごと当年6月30日まで)
(2) 労働者派遣事業収支決算書(事業主毎事業年度経過後3か月以内)
(3) 関係派遣先派遣割合報告書(事業主毎事業年度経過後3か月以内)

日常業務を抱える担当者の方が1日や2日でこれらの内容を正確かつ網羅的に記載することはなかなか困難ですから、あらかじめ事業報告を見越した実務フローを構築することが求められることになります。

収支決算書や関係派遣先派遣割合も含めて、これらの報告書を提出しない事業所に関しては、許可取消しや事業廃止命令といった厳しい行政処分が下されることにもなります(実際に平成28年1月には、「関係派遣先割合」を提出しない200以上の派遣元が、3月には約600の派遣元が許可取消しなどの厳しい行政処分を受け、その後も毎月のように厳しい行政処分が続いています。)。

派遣事業報告書の作成および提出は、派遣事業を営む上での基本的なコンプライアンスの一環だといえるでしょう。

ぜひ、常日頃から毎年の報告を見据えた経営を心掛けていきたいものです。

許可更新や報告書に関することなら、私たちにお気軽にご相談ください。

まずはお気軽に無料相談をご利用ください

相談申込 0120-073-608(平日10:00~19:00)

メールでご予約24時間受付

相談時間はたっぷり1時間。事前予約で時間外・土日・祝日も対応。内容によって出張無料相談も可能。

平成28年3月20日新刊を出版、平成29年2月23日改訂版ができました!

小岩 広宣 著 
『人材派遣・ 紹介業許可申請・ 設立運営ハンドブック』(日本法令刊)
平成29年2月22日 『改訂版 人材派遣・ 紹介業許可申請・ 設立運営ハンドブック』
■内容
第 I 部 平成27年 労働者派遣法改正のポイント
第1章 平成27年9月30日施行の改正法のポイント
第2章 平成27年10月1日施行の改正法のポイント
第3章 法改正Q&A
第 II 部 労働者派遣事業の設立・運営の手引き
第1章 事前準備および事前相談
第2章 会社設立および創業融資について
第3章 許可申請書および提出書類
第4章 許可申請に添付を求められる書類
第5章 派遣事業開始後の関係書類
第6章 労働者派遣事業報告書
第7章 許可更新および変更届
第8章 その他の関係書類
第9章 紹介予定派遣
第10章 請負事業について
第11章 定期指導について
第 III 部 有料職業紹介事業の設立・ 運営の手引き
第1章 有料職業紹介事業の許可基準について
第2章 許可申請書および提出書類
第3章 許可申請書および提出書類
第4章 有料職業紹介事業開始後の関係書類
第5章 有料職業紹介事業報告書
第6章 許可更新および変更届
第IV部 人材ビジネス経営実務Q&A
資料編

アマゾン 「ビジネス法入門」ランキングで1位になりました!

ランキング

まずはお気軽に無料相談をご利用ください

相談申込 0120-073-608(平日10:00~19:00)

メールでご予約24時間受付

相談時間はたっぷり1時間。事前予約で時間外・土日・祝日も対応。内容によって出張無料相談も可能。