成人年齢引き下げと派遣元責任者、職業紹介責任者

4月1日から民法改正により成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。成人年齢が変更されるのは明治9年の太政官布告で成人年齢が明記されて以来140年ぶりですから、大きな歴史の転換点だといえるでしょう。これに伴って、派遣元責任者や職業紹介責任者の選任基準も変わることになります。

派遣元責任者は、欠格事由に該当しないことのほか、成年に達した後3年以上の雇用管理の経験を有する者、派遣元責任者講習を受講した者であること、住所・居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと、適正な雇用管理を行う上で支障がない健康状態であることなどを満たす必要があります。このうち「成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者」とは、具体的には以下の通りです。

①成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者
人事・労務の担当者(事業主、役員、支店長、工場長など労基法の管理監督者を含む)
労働者派遣事業における派遣労働者・登録者などの労務の担当者
②成年に達した後、職業安定行政・労働基準行政に3年以上の経験を有する者
③成年に達した後、民営職業紹介事業の従事者として3年以上の経験を有する者
④成年に達した後、労働者供給事業の従事者として3年以上の経験を有する者

 

 

職業紹介責任者は、未成年者はなく、職安法に定める欠格事由に該当しないこと、職業紹介責任者となり得る者の名義を借用していないこと、職業紹介責任者講習を修了した者であること、成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であることなどが求められますが、以下のいずれにも該当しない者である必要があります。

・貸金業や質屋営業を行う場合は適正に登録・許可を受け、適正に業務運営している者であること。
・風営適正化法に規定する風俗営業等不適当な営業の名義人又は実質的な営業を行う者でないこと。
・外国人にあっては、入管法別表一の一の表及び二の表並びに別表第二のいずれかの在留資格を有する者であること。
・住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
・不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
・公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
・虚偽の事実を告げ、若しくは不正な方法で許可申請を行った者又は許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと。
・国外にわたる職業紹介を行う場合にあっては、相手先国の労働市場の状況及び法制度について把握し、並びに求人者及び求職者と的確な意思の疎通を図るに足る能力を有する者であること。

 

 

 

民法改正によって成人年齢が18歳に引き下げられましたが、派遣元責任者は「18歳に達した後3年以上の雇用管理経験等を有する者」であるのに対して、職業紹介責任者は「18歳に達した後3年以上の職業経験を有する者」と異なる点に注意しなければなりません。具体的には、職業紹介責任者は3年以上の職業経験を有している者ですから派遣元責任者のように雇用管理経験等までは求められているわけではなく、実際のハードルはやや低いと考えることができます。


法改正により、少なくとも規定上は成人以降3年を迎える21歳程度の責任者が選任される可能性もあり得ることになります。派遣元責任者や職業紹介責任者の法律上の責任の重さや多岐に渡る職務内容からすると、それ相応の職務経験や専門知識などが求められますが、年齢層が若い派遣元や若手を抜擢して登用したいと考える場合などは、今後の人選や配置などへの影響も出てくるかもしれません。多様なキャリアのあり方が求められる時代、年齢やそれまでの経験などを超えた個性や可能性と柔軟に向き合っていく契機にできたらよいですね。

 

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